雷雲の下にできる怖い下降気流 – ダウンバーストについて

日射で熱せられて暖かくなった空気が上昇することで積雲が発生し、大気が不安定で強い日射を受け、大気の対流活動が非常に活発になると、積雲は積乱雲へと発達していきます。積乱雲となると上昇気流は10m/s以上と非常に強くなるだけでなく、風の水平方向の成分も局地的に積乱雲の中心へとむかうような風になることもあり、特に飛行速度の遅いパラグライダーが積乱雲の風に巻き込まれるとひとたまりもありません。基本的に積乱雲が発達したときには飛ばない、あるいは速やかに降りることが原則となっています。

では積乱雲が発生した際に注意すべきことは強い上昇気流だけかというとそうではありません。積乱雲の中では、飽和した蒸気が水滴あるいは氷粒となって、その上昇気流に持ち上げられたり、自らの自重によって地面に向って落ちようとしたりふらふらと浮いていますが、その最中に少しずつ周りの雨粒や氷粒とくっつき、粒が大きくなると上昇気流では支えられずに最終的に編めとして地上に降ってきます。積乱雲のように強く発達した雲には強い上昇気流が存在しますので、普通の雨と違って雨粒が大きくなるのも特徴ですね。

雨や氷粒が降ってくると、その途中で触れる大気の熱を吸収して温度が上がり氷が溶ける、あるいは雨粒が蒸発するという現象が起きます。その結果大気は冷却され温度が下がることで密度が増し、周囲より重くなる結果下降気流が発生します。この下降気流はやがて地面にぶつかって水平方向へと周囲に広がっていくのですが、この下降気流と地面にぶつかった後に水平に広がる強い気流をダウンバーストと呼びます。このダウンバーストは時に台風並みの風速になり30m/sもの速度を持つ下降気流が発生することがあります。

downburst

30m/sの下降気流となるともはや旅客機でも事故を起こしてしまうような強烈な風で、グライダーのようなスカイスポーツでこのような風に出会おうものなら間違いなく命を失う大事故になると考えていいでしょう。
ダウンバーストときくと下降気流にだけ注目して、雷雲の真下を飛ばなければいいのではと考える人がいるかもしれません。雷雲から離れさえすれば雷に打たれる危険性も、雨に打たれることもさけられるから大丈夫だろうという考えですね。
果たしてこれは正しいのでしょうか?

実はこの考えは危険で、下降気流が地面にぶつかった後に水平方向に広がる風の影響も考えなくてはいけません。水平方向に何十m/sものガストが吹き荒れるのですから、旅客機では着陸態勢(すなわち低高度で失速速度に近い低速での飛行中)に入っていたらウインドシアによる失速などが原因で墜落する恐れがありますが、パラグライダーで飛行していたらそれこそ吹き飛ばされてしまいます。

ダウンバーストによる影響が4km以上に及ぶものをマクロバースト、4km以下のものをマイクロバーストと呼びますので、雷雲から10km以内は非常に危険だと考えていいと思います。よくいわれることとして雷が聞こえる距離は大体雷の中心から14kmぐらい離れたところまでといわれていますので、雷がなっているのを聞いたらそれがまだ遠くにいると分かっていたとしても、すぐに降りるのが正解ですね。ですのでクロスカントリーをしていて遠くのほうで積乱雲が発達しその下に雨が降っているのが見えるけれど、雷鳴は聞こえないということであれば積乱雲に近づかないように注意し、おろす準備もしながら周囲の様子を見ながら飛行を続けるという選択肢はありかもしれません。

ただそんなリスクをとる必要のあるフライトって一生のうち一度あるかないかぐらいでしょうね…

カテゴリー: タグ: , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)